甲斐駒ヶ岳 ~信仰の山を登る(後編)~

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(α700 & DT16-105mm/F3.5-5.6)
当時の私にもう少し勇気があれば、前編で書いた笑い話を友から聞くのではなく、一緒に登る仲間としてその場にいたことでしょう・・・。
実際に仕事も忙しい時期でした・・・それでも調整すれば行く事もできたはずです。
友に預けた私のカメラのみが登るわけですが、見せてもらった写真に計り知れない衝撃を受けることになります。
この山を庭のように歩く人々と登れること、そして浮世離れした絶景を撮影できること、この2つのチャンスを失ったことを実感します。
いつかきっと、この山を自分の力で・・・その思いが憧れにも似たものへと成長していきます。
あれから5年の年月が経ち、そのエピソードも最終章を迎える時がきたのです。


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前編・中編・後編と3エントリーでお届けしてきましたが、(ようやく)今回が最終エントリーとなります。
甲斐駒ヶ岳登山はこのブログの目標点でもありました。いわゆる節目のイベントなので、ちょっと力が入っているかも知れません^^;
長々拙い文章で綴りましたが、最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。

ちなみにこのエントリーより写真を大きくしてみることにしました^^
写真はcRAWで撮影し現像時に明暗調整、ホワイトバランスの微調整を行っています。
派手目に見えるのは クリエイティブスタイル=風景 の味だと思います。

話しを登山記へと戻します。
ようやく八合目(御来迎場)に到達したときは、登りはじめてから6時間を経過しようとしていた。
そして何が嫌かというとあまりにもコースが長いので、力の入れどころが全く分からないところだ(笑
というかこのコース、常に全力という感じで手を抜く場面がないのだ。
八合目には立派な石の鳥居があったのだが、今は倒壊して残骸が散乱している状態のままだ。
この鳥居の再建にはいろいろと難しい問題があって、倒壊したままの状態になっていると聞いている。

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八合目に到着したころからガスが多くなってくる。
高山の天候は日の出を過ぎるとともに下り坂になるケースが多い。

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なんとか山頂までもってくれと願いながら登る。
「あれが山頂か?こっちが山頂か?」と何度も出現する山頂もどきに惑わされる(笑

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九合目、いよいよ3本の鉄剣の高度を越えた。
人間の一歩一歩の凄さを実感する。

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ガスに覆われたり、晴れたりのを繰り返す不安定な天候が気になる。
もう少し待てば視界も開けたと思うが、一刻も早く山頂にという思いが足を動かさせる。
そしてついに・・・。

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人間とは単純なもので、この山頂の祠を見た瞬間に足取りが軽くなる(笑
黒戸尾根は駒ヶ岳の東峰を見上げる形で登るので、主峰山頂は高度が上がる九合目近くになるまで見えない。
ついに、ここまでやって来た。

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東峰山頂の駒ヶ岳神社の本社とともに主峰山頂(2,967m)を。
前宮である横手駒ヶ岳神社と竹宇駒ヶ岳神社より、標高差2,200mを登りきったところに現れる奥宮。
八合目、御来迎場の大鳥居も復活が待ち望まれます。

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本社の東側に鎮座する神々。

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一瞬だけ姿を現した仙丈ヶ岳と主峰山頂。
山頂には数名の人が見える。

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主峰山頂を目前にして東峰を振り返る。
あの道を歩いてきた・・・。

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山頂の祠に到着。
ダイジェスト版の 「甲斐駒ヶ岳 ~黒戸尾根コース~」 にて、最後の登りでは感極まった件を記載しましたが・・・。
そんな私の姿を見て話しかけてくる人がいる。
「黒戸を登ってきたのかね?」 → 「はい」 → 「日帰りかな?」 → 「はい」 こんな感じのやり取りの後で・・・。
「黒戸を日帰りで登ったのは50歳の時だった・・・もう20年ちかく前の話だけど、良い思い出になったよ。よく頑張ったね。」
信仰の山で神ではなく、仙人に会った気分だ。

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(一等三角点)
感動の山頂へとやって来た余韻を楽しみたかったが、今回の登山での目的でもある雷鳥探しをはじめる。
足元近くにいたのにキョロキョロと辺りを見回す姿は、他の人が見たらさぞかし哀れに映った事だろう。
雷鳥については単独エントリーとなった 「甲斐駒ヶ岳 ~雷鳥は飛んだ~」 をどうぞ。
雷鳥撮影が終わって辺りを見回すと誰もいない・・・甲斐駒ヶ岳の山頂に私1人だ。

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人気の高い甲斐駒ヶ岳の山頂は混雑するので、⑫~⑭枚目で人が写らない事など、雪山でもない限り滅多にないことでしょう。
富士山や北岳などの展望がなかったのは残念ですが、今回は登る事に意義があったので、それは次回の楽しみにとっておこう。
ちなみにガスの背後には仙丈ヶ岳が控えている。

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唯一展望が開けていた伊那?飯田?方面。
西側だけでも青空が広がっていて本当に良かった。

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仙丈ヶ岳への縦走路。
次回は突き抜けて仙丈まで、なんて思いも広がる。
山頂では撮影したり、お昼を食べたり、ゴロゴロしたりで1時間以上滞在する。
帰りたくない(笑

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山頂でマッタリした時間を過ごしたら、いよいよ下山だ。
怪我もなく麓まで降りられてこそ登山なので、浮かれることなく気を引き締めて歩く。
山頂付近の案内標では 「竹宇登山口 5時間30分」 の文字が・・・気の遠くなるような下りである。

写真は下りでの刃渡り。前日の天気予報でいったとおり、立ち上った積乱雲からはゴロゴロと雷が鳴っている。
ペースを上げれば濡れないで済みそうだが、もはやペースを上げる余裕など残っていない。
雨具があるので、最悪、濡れて帰ろう・・・と覚悟を決めるが、幸いなことに濡れずに済んだ。

登山口まであと少しというところでメールが入る。 「写真見せて♪」 と山の師匠からだ。
登山計画を教えたあったとはいえ、この上ない絶妙なタイミングだ(笑
師匠に写真を見せて自宅に戻り、写真のみのエントリーをアップして長い1日が終わる。
朝までぐっすりだったのは言うまでもない・・・。

甲斐駒ヶ岳は黒戸尾根の他に北沢峠からも登る事ができます。
北沢峠からは黒戸とは一変して、片道3時間ちょっとの日帰りハイキングコースとなります。
1回目の鳳凰山の失敗から北沢峠へと心が動きましたが・・・。
3時間ちょっとの山行が憧れとは、いささか可笑しいという事から思い止まりました。
もし北沢峠から登っていれば、黒戸から登る時には 「憧れの黒戸尾根」 なんてタイトルを考えたんだろうか(笑
本当に良かった・・・。

2005年のあの日から始まった私の挑戦は幕を閉じました。
まったくの山の素人からのスタートでしたが、難コースを日帰りで歩く事ができました。
これからは目標などは決めずに、好きな山を思うままに登りたいと思います。
そして写真のクオリティーを上げていきたいとも思っています^^;
最後に所要時間ですが、登り7時間、下り4時間30分というところでした。
近い将来にまた登ることになるかも知れません。

2010年8月18日、ついに憧れの頂に立つ^^
最後に某巨大掲示板にて話題となった、冬になると麓まで下山するという、七丈小屋の猫の姿を見る事はなかった(笑


[ 2010/11/07 12:51 ] 山歩き・山梨百名山 | TB(0) | CM(14)

写真も素敵ですが、読み物としても素晴らしいですね。
適度な緊張、疲労(感情移入による疑似体験)、爽やかな読後感でした。
[ 2010/11/07 19:58 ] [ 編集 ]

おつかれさまでした。

ようやく、完遂できたんですね。
5年ぶりの思いが達成できて良かったんですね。
しかし、のぼり7時間半、下り4時間半、計12時間じゃないですか。
それって、めちゃくちゃ、大変ですよね。
でも、山頂での貴重な独り占め、思いがかなってよかったですね。
素晴らしい景色と、達成感が伝わってこちらが感動しました。
[ 2010/11/07 22:39 ] [ 編集 ]

なが~い、長い超大作をみせていただいて、ありがとうございました!
読みごたえがありました。
感極まった「登山記」で、楽しませていただきました。
どうぞ、これからはお好きな山を、目標を決めずに、楽しく山登りされてくださいね☆
気苦労がないのが、何よりですから・・・。
私も、見習って、勉強させていただきます(笑)
[ 2010/11/07 23:29 ] [ 編集 ]

純さん、こんばんは!

読んでいただき、ありがとうございます!

毎回は無理ですが記念のエントリーなので頑張ってみました^^;
登ってから時間が経っている分、冷静に考えられたかも知れません。
ある意味、このブログの目標点でもあり、着地点でもありました(笑

これからも山登りは続けていきますが、ここを目標にという部分がないので、
気楽な気持ちで登れると思います。
もちろんこれ以上のコースを日帰りする事もないかと思います。

読み物として褒めていただき、嬉しかったです^^
[ 2010/11/08 00:29 ] [ 編集 ]

tazuさん、こんばんは!

読んでいただき、ありがとうございます!

長丁場なので1日が30時間とかだとありがたく思えます(笑
登りの7時間もただ登山だと気が滅入りますが、撮影しながらだと意外に早く感じます。
撮影時間が適度な休憩にもなりますし^^

お盆休み明けの平日なので、登山者も格段に少なくて良かったです^^
展望がイマイチだったので、次回は富士山や北岳なども撮れる日にと思います。
って、狙って来れれば、苦労はしないんですがね^^;

この5年間の宿題が達成できて、非常に幸せな登山となりました^^
[ 2010/11/08 00:44 ] [ 編集 ]

チューリップさん、こんばんは!

読んでいただき、ありがとうございます!

私にはこのレベルが限界ですが、褒めていただき嬉しいです^^
長いような短いような5年間でした。
このエントリーのみは特別な思いで綴りました。

目標も達成して、気楽な感じで登山を楽しめるかと思います。
甲斐駒ヶ岳の後に登った、富士山、金峰山、鳳凰山はそんな感じでした。
また来年も同じような山を登りますが、楽しみにしていて下さいね☆

そして思うがままに、コメントして下さいね^^
[ 2010/11/08 00:55 ] [ 編集 ]

初めまして・・・・
純さんのコメント欄で拝見いたしました。
甲斐駒登山記思わず引き込まれました。
定年後十数年のじじいですが、私にも黒戸を汗水流した記憶があります。
山梨百名山とαー100とクリエイティブ"風景”に惹かれました。
これからもよろしく願います。
[ 2010/11/08 10:34 ] [ 編集 ]

こんばんはw

甲斐駒ヶ岳登頂、ブログ監修お疲れさまですw
この5年間、いろいろなドラマがあったと思います。
その節目の年でもあったんですね。怪我もなく充実感
がひしひしと伝わってきますw
これからは少し肩の力を抜いた形での登山とのことですが
そういった登山記もすごく楽しみにしていますw
これからも登山、写真活動応援しています。
[ 2010/11/08 18:08 ] [ 編集 ]

黒戸尾根からの甲斐駒ヶ岳登山記の完結編、堪能しました。
お写真も文章もcondorさんの思い入れが感じられて、素晴らしかったです。
ネットで黒戸尾根のことを少し調べてみましたが、
足に自慢のある登山者にとっては憧れのコースだということがよくわかりました。
このコースを日帰りで往復した事実は、山男としてのステータスなんでしょうね。
[ 2010/11/08 22:02 ] [ 編集 ]

enosinさん、こんばんは!

はじめまして。来てくださり、ありがとうございます!

enosinさんも黒戸を歩きましたか。
当時は五合目小屋や屏風小屋、そして八合目の大鳥居は健在だったんでしょうね。
この一連のエントリーは懐かしく見えたかも知れませんね^^

山に関してズブの素人からでしたので、まず渓谷や里山で経験を積みました。
本格的な登山をはじめるのは、じつは2008年からでした。
徐々にレベルを上げ、2009年の鳳凰山日帰り縦走を経て、今回の挑戦となりました。
悲願を達成できて安心しております^^

enosinさんのブログのURLがないですが、探して遊びに行きますね!
こちらこそ、よろしくお願いします!
[ 2010/11/08 22:11 ] [ 編集 ]

ケニティーさん、こんばんは!

ありがとうございます^^;

長かったような、短かったような5年間でした。
でも、明確な目標点があったから、張り合いでもありました。
今は目標を達成して非常に充実しています^^

これからの登山は更に撮影重視で行こうかと思っています。
日暮れ、明け方、星空など、気に入った山の様々な表情を撮りたいです。
ご一緒する機会も増えるかも知れませんね^^

ケニティーさんの言われるとおり、肩の力を抜いた登山を楽しみたいと思います。
これからも応援、よろしくお願いします♪
[ 2010/11/08 22:30 ] [ 編集 ]

MJKさん、こんばんは!

憧れの顛末を記載するかを悩みましたが、そこが気になるところですよね。
文章力がない人間がなんとか頑張って形にしました^^;
褒めていただき、肩の荷が降りた気持ちです。ありがとうございます!

山好きにとっての黒戸尾根は、己の力試し的な部分が大きいと思います。
でも麓の人間とっては、このコースがスタンダードなんですよ。
私はその両方の要素を大切に登りました。

1泊でも良かったんですが、頑張って日帰りに挑戦しました。
山頂の人に言ってもらったように、きっと大きな思い出になるかと思います。
登って良かったです^^
[ 2010/11/08 22:43 ] [ 編集 ]

こんばんは。
とにかくいろいろと素晴らしいです!
写真もどれも素晴らしいし、何よりcondorさんの目標と、その達成に
ついて本当に尊敬します。
仙人との会話、こちらまでほろっと来てしまいました。
写真はどれも溜息モノですが、特に「仙丈ヶ岳への縦走路」の写真が
好きですね~♪
稜線を向こうの方まで通っている感じがなんとも言えません。

しかし標高差2000m以上、登り7時間日帰り・・・気が遠くなります・・・
[ 2010/11/15 00:20 ] [ 編集 ]

よ~かんさん、こんばんは!

ありがとうございます!悲願を達成する事ができました^^

山登りを始めた理由と、着地点を分かってもらえたかと思います。
この5年間で当時には想像できないような人間に変貌できました(笑
様々な思いから頂上間近では感極まってしまいました^^;

仙人の言葉は非常に重みを感じました。
いつか私も仙人と同じ言葉を若者に・・・なんて思いも感じながら。
山のロマンって奴かも知れないですね。

仙丈ヶ岳への縦走路の写真、ありがとうございます!
歩きたくなりますよね(笑
幸運にも一瞬だけガスが切れてくれました^^

目標と言うものは大切ですよね。
よ~んさんの滝百選も偉大な足跡だと思います。
達成した時の感動は、私の甲斐駒の比ではないと思います。

頑張って、いつの日か達成して下さいね!応援しています^^
[ 2010/11/15 20:45 ] [ 編集 ]

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